「あら、どこへ行くの?」

カゴをもって楽しそうに走っていくユウとフウを見つけて、リコは声をかけました。

「赤ちゃんに会いにいくんだよ!」

ユウとフウの親戚に赤ちゃんが生まれたので、2人は会いに行く途中でした。

カゴの中身はあかちゃんへのお土産がつまっています。

「おれからのお土産は辛いポテトチップ。ピリッと刺激的で、あかちゃんきっとよろこぶぜ!」

ユウが自信満々に取り出したのは、コショウがたっぷり効いたポテトチップのお菓子。

「ぼくからはチーズケーキだよ!とっても濃厚でおいしいんだ~。あかちゃんよろこんでくれるといいいな。」

フウはチーズケーキを取り出してうれしそうにほほえんでいます。

2人とも自分の大好きなお菓子をあかちゃんに選んだのでしょう。

・・・だけど・・・

リコはため息をついて、あきれ顔です。

「まだちいさい赤ちゃんにはたべられないわ。からだにやさしいものじゃないとおなかをこわしてしまうのよ。」

びっくりして顔を見合わせるユウとフウ。

何も知らなかったのでしょう。仕方がありません。

「でもそれじゃあ、あかちゃんへのお土産が無くなっちゃう」とフウ。

「いっしょにおやつをたべれたらとおもったのにな。」とユウ。

ガッカリした二人を見て、リコは考えました。なにか、もっとからだにやさしいおやつはないかしら・・・そうだ!

あまくていい香りがしておなかにやさしい、あれだったら、あかちゃんもきっと食べられるわ!

あかちゃんへのお土産をいれたカゴには、ユウの大好きな辛いポテトチップとフウの大好物の濃厚チーズケーキ。

そこにもうひとつ、あまいやさしいかおりを漂わせて大樹のりんごが2こ。
あかちゃんもいっしょに、みんなでおやつが食べられます!

「ユウくん、フウくん。いらっしゃい!まぁ、お友達をつれてきてくれたのね。」

あかちゃんのおかあさんは、大歓迎。

ユウとフウのお土産のお菓子と甘い香りのりんごでティータイム。

あかちゃんのおかあさんは、りんごをすりおろして小さな器にいれました。

しゃりしゃりでふわふわのりんごのすりおろし。

みずみずしくピカピカ光ってみえます。

ひとさじ口に入れたあかちゃんは、にこっと笑うと、もうひとくちもうひとくちと手を伸ばしてきました。

「うふふ、おいしいのね。」

おかあさんがうれしそうに言います。

みんなもうれしくなり、なんだかやさしい気持ちになりました。

ピリッとコショウが効いたポテトチップに濃厚なチーズケーキ、それとやさしくあまいりんご。

どれもステキなお土産になり、楽しいおやつの時間が過ごせたのです。

「大樹さん、やさしいりんごをありがとう。あかちゃんとってもよろこんでくれたのよ!」

うれしそうにお礼をするリコに、大樹のりんごは甘い香りをサワサワと漂わせて揺れていました。